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第35話 6月1日 初めての「二人だけの誕生日」 颯音12歳

Author: ちばぢぃ
last update Huling Na-update: 2025-12-18 11:00:22

朝6時15分。

カーテン越しの光が、いつもより少し強い。

6月になった。

おばあちゃんが逝ってから、ちょうど半月が経った。

今日は颯音の12歳の誕生日。

おばあちゃんがいたら、きっと朝からケーキを焼いて、

「颯音、おめでとう!」って抱きしめてくれたはずだ。

でも今は、

俺と颯音、二人だけ。

俺は昨日の夜、こっそり起きて、

冷蔵庫に隠しておいたホールケーキを準備していた。

スーパーで買った小さなショートケーキに、

手書きで「颯音 12歳 おめでとう」とチョコペンで書いた。

颯音が目を覚まして、

ぼんやりと俺を見た。

颯音「……蓮……おはよう……」

蓮「……おはよう、颯音」

俺はケーキを隠したまま、

颯音の頬にキスした。

颯音「……ん? なんか、いい匂い……」

蓮「……ちょっと待ってて」

俺は台所に走って、

ケーキにロウソクを12本立てて、

火を点けた。

リビングに戻ると、

颯音はまだ布団の中で、

目を丸くして俺を見ていた。

蓮。

蓮「……颯音、12歳、おめでとう」

颯音「……蓮……!」

颯音の目から、ぽろぽろと涙がこぼれた。

颯音「……ばあちゃんがいない初めての誕生日なのに……

蓮が……覚えててくれた……」

蓮「……当たり前だろ。

颯音の誕生日は、俺の記念日でもあるもん」

颯音が立ち上がって、

俺に抱きついてきた。

颯音「……蓮……ありがとう……

大好き……」

ロウソク、消そう」

二人で息を合わせて、

ロウソクの火を吹き消した。

颯音「……願い事……したよ」

蓮「……何?」

颯音「……蓮と、ず
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